いつもお世話になっております。受付の窓際席の人です🖋
「境界ブロックって、歩車道と地先どっちですか?」
見た目は似ていても使う場所も、求められる形状も違いますので調べてみました。
今回は歩車道境界ブロック・地先境界ブロックの話です。
目次
1. そもそも境界ブロックとは?
境界ブロックは「道路と歩道」「歩道と宅地」の境目へ設置するコンクリート製の縁石です。
ひとくちに「境界ブロック」といっても設計での設定・どう使うかによって、形状や高さがかなり変わります。
2. JIS規格で設定されているらしい?
境界ブロックのカタログを見ると、よく「JIS A 5371」の表記が出てきます。これは、プレキャスト無筋コンクリート製品の規格です。
JIS A 5371では、鉄筋を使わないプレキャストコンクリート製品の要求事項が定められています。
似た名前の規格に「JIS A 5372」もありますが、こちらはプレキャスト鉄筋コンクリート製品の規格です。境界ブロックは鉄筋が入っていないならJIS A 5371側と考えます。
なお視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)は JIS A 5371ではなく、「JIS T 9251(視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列)」という別の規格で形状が定められているそうです。

3. 歩車道境界ブロックとは
名前のとおり、歩道と車道の境界に設置するコンクリート製の縁石です。
歩車道境界ブロックは……
- 歩道と車道を明確に区分する
- 車両の歩道への乗り上げを抑制する
- 歩行者の安全を確保する
- 雨水を車道側へ排水しやすくする
といった役割があります。
なお「マウントアップ型」「セミフラット型」「フラット型」という言葉を耳にすることがありますが、これらは歩車道境界ブロックの種類ではありません。
国土交通省の「道路の移動等円滑化整備ガイドライン」などで示されている、道路をどのような断面構造で造るかという「歩道形式」を表す言葉です。その道路構造に合わせて、片面歩車道境界ブロックや両面歩車道境界ブロックなどの製品が使い分けられています。
- 歩車道境界ブロック=製品の種類
- マウントアップ・セミフラット・フラット=道路構造の形式
マウントアップ型
マウントアップ型は、歩道を車道より高く設ける従来型の道路構造です。
車道に対する歩道の高さは15cm以上が標準とされ、道路の区分によって数値が変わります。一般道路で15cm、直轄国道・幹線道路で20cm、トンネル・橋梁部で25cmなど想定の高さがあります。その段差を歩車道境界ブロックで構成します。
この形式には、
- 歩道と車道を視覚的に区分しやすい
- 車両が歩道へ乗り上げにくい
- 車道側へ自然に排水しやすい
というメリットがあります。
とはいえ横断歩道や車両乗入部では歩道を下げる必要があるため、勾配が大きく急になりやすく(いわゆる「波打ち歩道」)、車いすやベビーカー、高齢者にとっては通行しにくい場合があります。
昭和から平成初期に整備された道路では、現在でもこの形式を多く見ることができます。
セミフラット型
新しく整備・改築される道路で最も多く採用されているのがセミフラット型だそうです。
歩道面は車道よりわずかに高く保ち、車道に対する歩道の高さは5cmを基準とします。
マウントアップ型と比べると段差が小さいため、
- 車いすが通行しやすい
- ベビーカーが押しやすい
- 高齢者が歩きやすい
- 自転車も歩道へ乗り入れしやすい
という特徴があります。
一方で、歩車道境界ブロックは残るため、歩道と車道の境界も認識しやすく、安全性とのバランスも取りやすい形式です。
国土交通省や東京都、横浜市などのバリアフリー関連ガイドラインでは、歩道面を車道面より高く、かつ縁石天端高さより低くする構造(セミフラット形式)を原則とする考え方が示されており、現在でも一般的な歩道形式となっています。
フラット型
フラット型は、歩道と車道の高低差をほとんど設けない道路構造です。
駅前広場や歩行者優先空間、交通量や速度が比較的低い道路などで採用されています。
歩行や車いすでの移動は非常にスムーズになりますが、
- 車道との境界が分かりにくい
- 視覚障害者が白杖や足裏で境界を認識しづらい
という課題もあります。
そのため現在では、完全に段差をなくすのではなく、横断歩道の接続部では歩道と車道との段差を2cm程とし、視覚障害者誘導用ブロックや舗装の違いによって歩車道境界を認識しやすくする工夫が行われているそうです。
バリアフリーの考え方と歩車道境界ブロック
昔の道路整備では、「段差が大きいほど歩道は安全」という考え方が主流でした。
現在は高齢化社会の進展に伴うバリアフリー法の整備により、道路はすべての人が利用しやすいことが求められています。
例えば
- 車いす利用者は段差が小さいほうが通行しやすい
- ベビーカーも段差が少ないほど押しやすい
- 高齢者はつまずきにくい歩道が望ましい
- 一方で、視覚障害者は白杖や足裏で歩車道境界を認識できることが重要
それぞれ必要とする条件が異なります。
「段差をなくすこと」だけがバリアフリーでは無く、「歩きやすさ」と安全に「境界を認識できる」ことを両立することが、現在の道路設計では重要とされています。
そういった事を踏まえた設計によって、歩車道境界ブロックは高さなど決まってきます。
4. 地先境界ブロックとは
地先境界ブロックは、主に歩道と民地の境界や、駐車スペースの区切り、花壇・街路樹帯の仕切りなどに使われるブロックです。
いわゆる官民境界を示す縁石として使われることが多く、歩車道境界ブロックほどの高さを持たない、比較的フラットな形状が特徴です。
5. 規格でみる寸法比較
以下は、JIS A 5371準拠の代表的な寸法例です。 ※単位はmm、質量はあくまで目安です。
片面歩車道境界ブロック
| 呼び名 | 上面 | 下面 | 高さ | 面取り部R | 長さ |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 150 | 170 | 200 | 20 | 600 |
| B | 180 | 205 | 250 | 30 | 600 |
| C | 180 | 210 | 300 | 30 | 600 |
地先境界ブロック
| 呼び名 | 上面 | 下面 | 高さ | 長さ |
|---|---|---|---|---|
| A | 120 | 120 | 120 | 600 |
| B | 150 | 150 | 120 | 600 |
| C | 150 | 150 | 150 | 600 |
6. 「面取り」「面無し」の違い
地先境界ブロックの「面無し」「面取り」という表記について
- 面無し:角がそのまま直角になっているタイプ
- 面取り:角を斜めに削ったタイプ
片面だけ面取りするもの、両面に面取りが入るものがメーカーに存在しています。
どのタイプが必要なのか、発注前に確認しておくと安心です。
7. 用途に応じたバリエーション
境界ブロックのA・B・Cタイプ以外にも、現場の条件に合わせた製品があります。
- 曲線部用(内R・外R)
- 乗入れ用(切り下げ)
- 防草ブロック
- UR型
- 道路公団型
- 中央分離帯ブロック
- エプロンブロック
- 水止めブロック
- ライン導水ブロック
- プレキャスト街渠

このあたりは、メーカー独自の品番や自治体仕様が入ることも多く、標準品だけでは対応できないケースもあります。 現場条件が決まっている場合は、「設計にコレが入っている」と指定した方が間違えないです。
8. 自治体によって型が違う?
ここが意外と大事なポイントです。
歩車道境界ブロックは、元の規格が土台にはなっていますが、実際には自治体指定型があることも多いです。
たとえば、次のような地域型が見られます。
- 東京都建設局型
- 府中型
- 千葉県型
- 神戸市型
- 茨城県組合型
- 栃木県指定E型
- 日本道路公団型
- 首都高速道路公団型
つまり規格ベースにしながら、使う場所ごとの指定仕様のものが多いというのが実態に近いです。
官公庁発注の工事では、まず図面や仕様書にどの型番が指定されているかを確認が必要です。

9. まとめ
歩車道境界ブロックと地先境界ブロックは、どちらも「境界を示す」という役割は共通しています。 ただし、分けたい相手が車道なのか、民地なのかによって、寸法も形状も使いどころも変わってきます。
迷ったときは設計で、「どのブロック」を「どれだけ」使うのは「いつ」という想定されると、間違えないです。
発注の時には、その様な形で御用命くださいませ。
平野建材@受付窓際席の人🖋